TOEICで実力を出し切るための時間配分の目安

TOEICは制限時間が短いため、素早く理解できる英語力が必要です。リスニング音声は一度しか読まれず、設問間の間合いも英検ほど悠長ではありません。リーディングでは、一度読んだ部分は二度と読まない覚悟で駆け抜けるように読み進めなければ、最後まで解くことはできません。TOEICでの高得点達成には、秒単位での時間配分テクニックが必要です。

TOEICの問題形式を熟知する

Part1~4はリスニング問題、Part5~7はリーディング問題です。前もって問題形式を把握しておけば、試験中に指示文を理解する時間を掛けずに済み、全ての持ち時間を解答に費やすことができます。

Part1は写真描写

問題用紙には写真のみが掲載されています。聞こえてくる4つの文章のうち、1つだけが写真を的確に描写しているので、それを正解として選びます。写真は、街角の風景やオフィスのデスクなど状況がさまざまで、人物が写っている場合とそうでない場合があります。中央に人物が写っていても、その横に設置された棚に山積みにされた書類についての描写が正解、という場合もあります。そのため、写真は隅々まで確認する必要があります。

Part2は写真や文字なし

問題用紙には何も記載されていません。短い文章を聞き、それに対する解答や応答として最も適したものを、そのあとに聞こえてくる3つの文章の中から選びます。最初に聞こえてくる短い文章の大半は疑問文なので、文頭の疑問詞を確実に聞き取りましょう。

Part3とPart4はリスニング版長文読解

Part3では会話文、Part4ではナレーションを聞き、その内容に当てはまる解答を4つの選択肢の中から選びます。情報元となる長文は音声のみですが、設問と選択肢は問題用紙に記載されているため目と耳の両方で確認することができます。1つの長文問題につき3つの設問があります。

Part5とPart6は語彙と文法についての空所補充問題

4つの選択肢から空欄に適した一語を選ぶ、英検の大問1と同じような形式です。ただ、英検とは違い選択肢の単語は平易なものが多く、難解な問題やひっかけ問題もあまりありません。Part5は不完全な文章(一文)を完成させる形式で、設問1つにつき1問です。Part6は不完全な文書(複数段落)を完成させる形式で、設問4つがセットで1つの問題になっています。

Part7は長文読解問題

文書の内容を細かく理解できているかが問われます。長文は、お知らせやチャットの抜粋など短く読みやすいものもあれば、長文メールや雑誌記事の抜粋など語数の多いものもあります。また、問題には文書が1つで単独のもの、2つ組み合わせたもの、3つ組み合わせたもの、と3種類の形式があります。文書数と難易度に相関関係はなく、英文の難易度は問題により異なります。設問2~5つがセットで1つの問題になっています。

リスニングに不可欠な先読み

リスニングでは聞こえてくる音声に合わせて解き進めるため、積極的な時間配分はできません。ただ、与えられた時間を有効に使うため、いつ何をすべきかを知り、効率よく解くことならできます。

Part1とPart2は先読みなし

Part1とPart2では、問題用紙に設問や選択肢の記載がありません。Part1では写真のみ、Part2では設問番号のみが記載されています。
Part1では音声が流れる前に写真を見ておきます。確認すべきことは3点で、物の状態、人物の動作、現場で行われている作業に着目しながら音声が流れてくるのを待ちましょう。Part2では聞こえてくる設問の文頭の疑問詞を確実に聞き取れるよう、集中しましょう。Part2の対話にはひねりが加わることがあるので、その点にも注意が必要です。イエスノークエスチョンの回答でもイエスやノーで始まらず、「後で確かめてみる」など、型にはまらない回答が正解となる設問が数問あります。

Part3と4は設問を先読み

Part3とPart4では、先読みは欠かせません。聞こえてくる音声に追われるのではなく、音声よりも先に行動して準備を整え「音声を待つ」くらいの感覚で解き進める余裕が、高得点につながります。先読みの流れは以下の通りです。
音声が流れてくる前に、問題用紙に記載されているその問題の設問3つを、全て読みます。まだ時間があればその下に4つずつある選択肢の前半を読み、選択肢の内容についても簡単に確認します。それでもまだ時間がある場合には、次の問題へは進まずその問題の設問と選択肢を読み返しながら、音声が流れてくるのを待ちます。
選択肢の先読みは前の問題の設問と選択肢が読まれている間に行う必要があるため、各問題は会話や説明文が流れている間に早めに解き切ります。解答を完了する前にその問題の設問が聞こえてきた場合には、考えるのをやめて勘でマークを塗り、すぐに次の問題の設問の先読みを開始します。

Part5の時間配分と解き方

・時間配分
Part5からはリーディングなので、自分で決めた時間配分に沿って進めることができます。一問20秒を目安に、30問を計10分で解きます。850点以上を目指すなら一問15秒、30問7分半が目安です。

・解き進め方
空所の前後を中心に読み、返り読みや二度読みはせずに正解を選びます。選択肢を選んだ後は残りの選択肢を読まずに次の設問へ進みます。瞬時に答えを判断できるのが理想ですが、そうでないものについては3秒だけ考え、それでもわからない場合はマークシートをあけたまま、次へ進みます。

Part6の時間配分と解き方

・時間配分
一問35秒を目安に、16問を計9分半で解きます。850点以上を目指すなら一問30秒、16問8分が目安です。

・解き進め方
Part6は単純な文法問題ではなく前後関係を理解したうえで解答する必要があるため、空所の有無に関わらず文書の最初から読み始めます。空所の次の行まで読んでも正解がわからない場合は、考え込まずにその問題をあきらめて、次へ進みます。抜けている一文の挿入箇所を問う設問については、文章を全て読み終わってから解くと解きやすいでしょう。解くのをあきらめた問題のマークシートは、あけたままにしておきます。

Part7の時間配分と解き方

・一般的な時間配分と解き方
一問75秒を目安に解きますが、このペースでは全ての問題を解き切ることはできません。そのため、一つの文書から出題されている「シングルパッセージ」の問題29問を見つけて先に解きます。上記のペースでここまで進めてくると、シングルパッセージの問題を解き終えた時点で残りはあと20分です。残り時間を使い、複数の文書から出題される「ダブルパッセージ」や「トリプルパッセージ」の問題に取り掛かります。

文書数と難易度は関係ないため、興味のあるテーマから解いてみます。複数パッセージの問題は4~5問あり、1つの問題に最大5つの設問があります。多くの問題を解こうとせず、解きやすいテーマの問題を見つけて落ち着いて読み、確実に解答しましょう。

・850点以上を目指す場合の時間配分と解き方
高得点を目指す場合は全てを解き終える必要があるため、一問1分、54問54分を目安に解きます。このペースでぎりぎりです。解けそうな問題を探すために一通り最後まで問題に目を通したりはせずに、1ページずつめくりながら問題を順番通りに一つずつ解いていきます。

上記のペースでここまで進めてきた場合、Part7を全て解き終えた時点で残りはあと5分ほどです。この5分は見直しや、マークの塗り直しに使います。時間に追われて解くのをあきらめた問題は、マークをせずにあけてあるので、そこへ戻って解き直します。

まとめ

TOEIC受験に向けて勉強するときには、毎回必ず「10問○分」という具合に何問かをまとめて、時間を測りながら解きましょう。

時間の感覚は、同じ速度で同じ作業を何度も繰り返すことで定着します。また、得意分野と不得意分野がわかってくれば、時間配分はアレンジが可能です。より自分にあった時間配分を見つけてそれを忠実に守りながら解く練習を繰り返すことで、時計を見なくても予定通りに解ける時間配分感覚を体に覚えさせましょう。

最後に、試験終了時刻直前の2分間の過ごし方についてです。終了時刻2分前には解答をやめ、マークシートの最終確認をしましょう。うまく塗れていない部分を塗り直したり、つけておいた印を消したり、あけておいたマークをまとめて塗りつぶします。このときに塗るアルファベットは、あらかじめ決めておくと迷わずにすみます。本番でより効率よくより快適に解き進めるために、事前にできる準備は全てしておきましょう。